その夜の両親の営みは夜中の1時過ぎまで続いた。しかし律子の母は絶対に家事に手を抜く事はなく次の日の朝も律子が目覚めて階下に下りていくと朝食を作っているところだった。雨は小降りになったものの外出にはゴム長は欠かせない状態であったが律子ご自慢の白いゴム長靴は既に完全に乾かして玄関に置かれ、その横には泥はねの付いた母親の白いゴム長が置いてあった「律子おはよう、長靴はもうちゃんとかわいているからね。今日もそれ履いて行きまっし」「うん、ありがとう。」「お父さん、もう会社へ行ったが?」「うん、お父さん今日から東京へ出張で朝早い特急でもう行ったよ」「お母さんもお父さんも長靴乾いたん?」「なんも、律子の長靴を先に乾かしたさかにお母さんとお父さんのはきちんと乾かんかってけど、お母さんはあの白い長靴あっし、お父さんももう一つ長靴持っとるさかいにそれ履いて駅まで送って行ってお父さんの長靴は持って帰ってきたガや。」両親は今朝も早くから楽しんでいたのだった。律子はこの様な両親の愛情を受けながら育ちやがて中学に進学した。律子が進学した中学校は自宅から2キロ弱の距離だった為自転車通学が認められていた為、雨天時以外は自転車で通学したが雨の日は必ずレインコートにゴム長で徒歩通学をした。通学路の内の約8割が未舗装で律子が雨の日を楽しむ、ゴム、ゴム長を楽しむには最適のシチュエーションであったことがもっと大きな要因であっちたが、学校指定のコートがゴム引きの合羽ではなく、ナイロン地のコートであったことも徒歩通学にさせたことの大きな要因となった。律子の通っていた中学校は文武両立で有名な学校であり、文武両面に渡って当時としては最高水準の設備も誇っていたがグラウンドも陸上競技用のグラウンドに加えて野球とサッカー用のグラウンドも備えており律子は入学時から野球、サッカーグラウンドの清掃当番になった。男子は5人しかなく他の10名は全て女子生徒であったが、雨天時や雨上がりのグラウンド掃除は楽しくてたまらなかった。グラウンドの半分は大きな水溜りに覆われ、後の半分はぐちゃぐちゃのぬかるみ、そんなところで律子のみならず他の女生徒もゴム長の威力を最大限に発揮し、水しぶき、泥はねを豪快に跳ね上げながら歩き回った。それに対して5人の男子生徒は影が薄かった。年齢的にも女子に比べてゴム長を履くこと自体に抵抗があり履いているゴム長はどれも短寸の軽半長、ゴム長の長さ自体が全く違っていたから女子生徒の様に豪快に歩けない。ある時など同級生の千秋に「あんたら何しとんが、父ちゃんらが履いてるもうちょっこし長い、長靴履いてきてちゃんとやったらどうがいね」と突っ込まれても「だらぁ、そんな格好悪いもん履けるかいや」と抵抗するのが精一杯の状態だった。女生徒達はよく一緒になって男子への不満や悪口を言い出した。「長靴履くが格好悪いなんて、だらみたい」「おいね、私らちゃんと眺め長靴履いてやっとんがに、ズックべとべとにして歩くんほうがよっぽど格好悪いがんに」「私のお母さんの妹、東京にいるげんけど、この間東京遊びに行った時、東京駅まで迎えに来てくれてんけどぉー雨降っとたげんね。ほしたらおばさん、薄ーいクリーム色かな、格好いいコート着てかってぇー膝の下まである黒い長い長靴履いとったげんけど物凄く格好よかったよ。ほんで啓子は銀座いったことないやろって言うて銀座連れってもろたんやけどぉー銀座で長靴履いとる人、何人も見たよ。私もびっくりしたげんけどおばさんが、雨が降ってる時に足元を濡らさんのもお洒落の一つやって言うとったんやわ。私、それから長靴平気で履く様になったもん」「小学校の小田切先生も東京から来た先生やったけど格好良い長靴はいとっがいね」律子は彼女達の会話を聞きながら益々自分の意の正しさ、それは両親から教わった事が正しかった事の証であることを認識した。そして次の雨の日律子はある先輩のことを男子に話してみようと考えた。その先輩、北本信子は校内きっての美人で成績は常にトップ、しかも誰彼訳隔てなく接し、常に周囲に対して優しさと気配りを忘れない多くの生徒の憧れの的になっていた女生徒だった。彼女の住んでいた場所も雨の日はゴム長靴無しでは外出できない道路事情の場所だったが、律子が中学生当時女性の履くゴム長靴はその殆どが黒か白が主流を占めるなか、彼女は真っ赤、紅色の膝寸ゴム長靴を履いて登校していたのだ。そして校内一のスポーツマンで人気絶頂の筒井康孝がこの北本信子とやはりグランドの清掃当番だったのだが、しぶしぶ長靴を履いての状態であったのを信子の一言で丈の長いゴム長靴を履きだし、以来通学もそれで通したと言う逸話があったのだ。二人とも律子の2年先輩なのでもう在校はしていないが同じ高校に進学したと聞いている。今は2年生の律子だが学校での存在感も大きく「律子がゴム長靴を履いているんだから」や律子と律子の母親と水溜りを歩き廻った悪ガキ達はその多くがゴム長を履いて登下校している。だから先輩にはいえなくても同級生にはいえると思い思い切ってゴム長を履き替えを北本信子の事を交えて話してみた。はたして結果は効果抜群、他の女生徒が話しても聞き入れなかった事を律子がと言う理由だけであっさり聞き入れてしまった。こうして中学3年間も楽しく過ごした律子は少しづつ大人への目覚めも感じながら高校へと進級したがここでは中学時代とは比較にならないゴム長、ゴムフェチへの更なる目覚め、そして同姓での同好の士であり後の人生に於いても頼りになる者との出会いが待っていた。