長靴日記2

長靴日記2 2006/11/27
殆ど水溜りに覆われた空き地はそのまま水溜りで道につながっていた。そこまで闊歩してきた律子だがさすがにその水溜りは派手に水しぶきを上げながら歩く事が出来ない深さの為歩調を落とした。やがて水の深さは律子が履いているゴム長の履き口の下10センチぐらいの所に達したがゴム長を通して足に伝わる水圧が快く感じる律子はそこで一寸立ち止まりどっちの方向へ進むか考えた。少し考えた・・といってもほんの僅かだが・・律子は右方向へ足を向けて空き地からつながる道を歩き出した。道といっても今日の様な天候では水溜りの中に道があるという状態だ。その為かこの付近の住民は殆どが水溜りを避けて歩くなどということはしない。ただ見ていて面白いのは男性は渋面をしながら歩くのに対し女性達は嬉々として歩く者が多かった。が中にはお上品ぶって歩く者やゴム長を履くのを嫌がりこれ見よがしに革靴などを履いて綺麗な道を遠回りする者もいる。ジャップジャップバシャーバシャー水溜りの中に道がある様な道を再び闊歩する律子が跳ね上げる水しぶきが空から落ちてくる雨に混ざって水溜りに帰る。帰っては再び水しぶきとなって飛び散る。そしてまた水溜りに還る。その様な連続する現象が一瞬納まったとき律子はピッチャピッチャパッシャパッシャと舗装された通りを小走りに横断しその勢いのまま道の入り口から広がる大きな水溜りへバッシャーと音を上げながら足を進め歩き続けた。暫く歩き続けた律子の足音がジャップジャップバッシャバッシャから次第にべッチャべッチャグチャグッチャゴッボッグッチャゴッボッグッチャに変わりそれまで跳ね上げていた水しぶきは泥はねが混じりだし今まで水滴がながれていた律子のゴム長が甲の部分まで赤土の泥に覆われ右のサイド部分にも大きな泥はねが花を広げた様に着いていた。道をはずれ造成中のぬかるんだ大きな空き地に足を進めていた律子はゴム長の半分が泥に浸かるところまで来ると強くなり始めた雨脚に傘をたたみみ頭からフードをかぶって雨に打たれる様に立ち止まった。今の自分の幸せをかみ締めるように雨に煙る先を見つめる律子の脳裏に刻まれた子供の時からの回想が蘇ってきた。